病院へ受診すると必ず窓口で渡される医療費の明細書ですが、そこに記載されている点数というものが気になる人も多いと思います。しかし明細書を見ても分からないからと、とりあえず請求された金額を支払っていませんか?そこで医療費の算定方法などについて分かりやすく解説したいと思います。
医療費の基本の計算とは?点数と金額の関係とは?
病院で支払うときに渡される領収書の明細の欄には点と表示されていることに疑問を持ったことはありませんか。
病院では医師が患者さんに診察などを行ったときにその診療行為に対して患者さんから医療費をもらいます。
言い換えると、病院からしてみれば基本となる収入になるわけですがこの診療行為による報酬のことを『診療報酬』といい、点数制を採用しています。
ちなみに点数から金額に換算すると1点が10円になります。
病院の窓口でもらう明細書に点数が記載されているのは全ての医療行為に点数が決められているためなのです。
主に「初診料・再診料」と呼ばれる病院を受診するときには必ずどちらかが発生する料金(点数)を始め、薬を処方されたり注射やレントゲン、検査や処置などをすると決められた点数が加算されていきます。
最終的に点数の合計に対して10円を掛けると円になり、これが診療にかかった全体的な金額になります。
しかし、患者さんは医療費を支払うときに保険証などを利用すると思います。
それによってそれぞれの負担する額が変わってきます。
大きく分けると、
・6歳未満2割負担
・70歳未満が3割負担
・70~74歳は2割(現役並み所得者は3割)
・75歳以上で原則1割負担、ただし現役並みの所得の場合3割負担
のような負担割合となっています。
基本的には、診療にかかった全体的な金額からそれぞれの負担割合に応じて医療費の一部を窓口で支払う流れとなります。
同じ病院で同じ診察を受けても支払う金額が違うってホント?
私が経験した事としてある人に、「同じ病院で同じ診察を受けたのに違う日に行ったら領収書の金額が違った。おかしいのでは?」と言われたことがあります。
詳しく話を聞いてみるとある条件によって支払う金額に差があったのだと気づきました。
それでは、さきほどの基本的な考え方をもとに簡単な計算をしてみましょう。
例文:S子さん(45歳)は、平日の午前9時(病院の診療時間内)に初めてA病院にかかって風邪の薬(3種類)を処方してもらいました。
この人は、A病院に初めて受診しますので初診料というものが発生します。
また、薬を医師から処方してもらったので薬の投薬に対しても点数が発生します。
ちなみに今回は風邪薬が3種類のみでしたが、薬の量が多い場合などは点数も変わってきます。
計算としてはまず、
初診料【282点】+処方せん料【68点】=【350点】
これでは点数のままなので金額にしていきます。
点数から円にする場合は、10円を掛けるので、
【350点】×10円=3500円
となります。
次に、窓口で支払う医療費の一部の計算をすると、
3500円の3割なので、1050円です。
この日に窓口でS子さんは1050円支払うことになります。
次に少しだけ条件を変更して考えてみます。
例文:S子さん(45歳)は、日曜日の午前9時(病院は休日)に初めてA病院にかかって風邪の薬(3種類)を処方してもらいました。
計算としては先程同様、初診料が発生するのですが、今度は日曜日であるということに注目しましょう。
A病院は普段診療を行っていない曜日でしたが、たまたま病院があいていて受診することができたので、この場合は割り増しで点数が加算されます。
初診料【282点】+休日加算【250点】=【532点】
そして薬を処方してもらったので、投薬に関しても点数が発生します。
休日加算後の初診料【532点】+処方せん料【68点】=【600点】
これでは点数のままなので金額にしていきます。
点数から円にする場合は、10円を掛けるので、
【600点】×10円=6000円
最後に窓口で支払う医療費の一部の計算は、
6000円の3割なので1800円となります。
この日にS子さんは1800円支払うことになります。
日曜日や祝日、振替休日や年末年始のような休日である日に病院に受診したり、病院の診療時間外や夜間に受診した場合も応じて加算がされます。
最初の例文では、S子さんは1050円支払って、次の例文では1800円窓口で支払っています。
このふたつの例を比べて分かるように、同じ病院で同じ診察を受けたとしても受診したタイミングによって750円の金額に差がうまれたことが分かると思います。
まとめ
普段なにげなく渡されている明細書に書かれていた「点」という記載ですが、病院では医師が患者さんに行う診療行為に点数が決められているからなのです。
今回は、簡単な計算の仕方を紹介しましたが基本的な考え方としては1点あたり10円を換算して保険証に応じた負担割合が窓口で支払う医療費の一部負担となります。
こんな感じに違う理由の説明をその人にしてあげると、納得されていましたので今回紹介させていただきました。
みなさんも手元に明細書があれば一度確認してみると良いと思いますよ。